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『インターセックス』帚木蓬生

インターセックスインターセックス
(2008/08/05)
帚木 蓬生

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生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。泌尿婦人科医の秋野翔子は岸川に請われてこの病院に勤務することになった。そこでは性同一性障害やインターセックスの患者たちへの性転換手術やさまざまな治療が行われていた。翔子は「人は男女である前に人間だ」と主張し、人知れず悩み、絶望の淵にいた患者達のために奔走する。やがて翔子は、彼女に理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく…。神が創り出した少数派の人間たちの魂の叫び、身体と魂の尊厳。医学の錯誤を見据える世界初テーマに挑む、衝撃と感動のサスペンス大作。


<評価>★★★★★
『エンブリオ』という作品の続編みたいですが、本書だけ読んでも十分に大丈夫でした。非常に勉強になる読書でした。作者の知識の深さ、問題提起への意欲、素晴らしいと感じました。

インターセックスという言葉自体を全く知らなかった私は、自分の無知がいやになりました。普通、産まれてきてすぐに、男の子か女の子か、と診断出来るのですが、稀にどちらでもない赤ちゃんもいるんですね。未成熟な膣もあれば、男性器もある・・みたいな。これには様々なタイプがあるようです。染色体は男でも、成長してもひげもはえなければ、男性器も成長せず、声変わりもしないんです。ここで大事なのが本人の性に対する気持ちなのですが、「女性が7割、後の3割は男性かな」というような、曖昧な部分があるんです。出産の時にこれに気づいた医者は、出生届も男か女かで出さないといけないし、どちらかにしてしまわないと両親や周りの人たちが動揺してしまうと思い、男性器を削る手術とか、膣を造る手術とかしてしまうんです。でも、それには何回も手術をしないといけないし、無残な傷跡も残るのです。

主人公の女医・翔子は、大切なのは本人の意思。手術はしないで成人するまで待ち、本人の意思に沿って、あらためて手術をしてもいいし、そのままでもいいという考え。精神的なフォローは医者と家族がしていくというもの。この考えにはハッとさせられました。望んでもいないのに、幼い時から大事な部分をいじくりまわされると、物凄く精神的にきついと思うんですよね。しかも、診察や手術の時には、珍しい事例という事で、ぞろぞろと研修医が入ってくるんです。これは思春期の時には果てしなくつらい事です。

医師や家族の勝手な判断でひどいダメージを受けた患者が、翔子の診察をうけて涙を流したりする所では、こちらも涙が出てきました。消えてしまいたいような気持ちになっちゃうんでしょうね。皮膚の色も黒人、白人、黄色とあるように、性も、第3の性というのがあっていいと思います。黄色人種だからといって皮膚を剥いだり、漂白されたりしないのと同じように。。

翔子の真っ直ぐな生き方に勇気をもらえた気がします。私も病弱なのですが、周りの目なんて気にしないで、堂々と生きていく事が大切なんだな。大きなテーマの中で、ミステリーの部分はちょっと弱かったですが、そんなの気にならないくらい、充実した読書でした。

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 活字中毒です。家事の合間では本ばかり読んでいます。気軽にコメント頂けたらうれしいです。
 

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