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『古書の来歴』ジュラルディン・ブルックス

古書の来歴古書の来歴
(2010/01/21)
ジェラルディン ブルックス

商品詳細を見る

<評価>★★★★★
100年ものあいだ行方が知れなかった稀覯本「サラエボ・ハガダー」が発見された――
連絡を受けた古書鑑定家のハンナは、すぐさまサラエボに向かった。
ハガダーは、ユダヤ教の「過越しの祭り」で使われるヘブライ語で祈りや詩篇が書かれた書である。
今回発見されたサラエボ・ハガダーは、実在する最古のハガダーとも言われており、
500年前、中世スペインで作られたと伝えられていた。
また、ハガダーとしてはめずらしく、美しく彩色された細密画が多数描かれていることでも知られていた。
それが1894年に存在を確認されたのを最後に紛争で行方知れずになっていたのだ。
鑑定を行ったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。
それを皮切りに、ハガダーは封印していた歴史をひも解きはじめ・・・・。

異端審問、焚書、迫害、紛争――
運命に翻弄されながらも激動の歴史を生き抜いた1冊の美しい稀覯本と、
それにまつわる人々を描いた歴史ミステリ。

割と分厚くて字もぎっしり、という本なのですが、なんという素敵なゾクゾクするお話なんでしょう。めくるめくヒストリカル・ミステリー。

”ハダガー”と呼ばれる、豪華な装丁・挿絵の一冊の古い本が見つかったことから、古書の修復師・ハンナがボスニアに呼ばれ、その古書を修復すると同時に、付着物を調べ、ここにたどり着く前にどんな過去があったのか?という謎に挑みます。”ハダガー”とはユダヤ教のいわゆる祈祷書みたいなもので、昔は結婚の祝いなどに贈られていたようです。古書を修復する仕事って、なんてロマンがあるんでしょう。古書を緩衝材の上にそっと置くハンナの手つきはまるで壊れ物の宝物を触っているみたい。

”ハダガー”を開いてみると、細密画の他に、高山にしか生息しない蝶々の羽や人の血、彩色された猫の毛などがサンプルとして採取できたのです。これらの意味する歴史とは・・・?それがそれぞれの章で語られていきます。

その歴史とは、宗教における民族の戦争の歴史。日本に住む私たちは、宗教への思いは割と希薄だと思うのですが、ユダヤ教やキリスト教の間では、ものすごい戦いの歴史があったのです。戦争で一夜にして家族を失ったローラ。銃で撃たれて意識不明の息子を持つオズレン。精神の均衡を取るために葡萄酒を手放せない焚書審問官のヴィストリニ。。どの章を読んでも、そこには戦争によって運命を翻弄される人々が出てきます。そんな中だからこそなのか、美しい”ハダガー”をそれぞれいろんな手段で運び、ほんの少しの希望を見出したのだと思います。

ものすごく心に残る一冊。

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