『ナナメの夕暮れ』若林正恭
オードリー若林の6年間の集大成エッセイ
「おじさん」になって世界を肯定できるようになるまで
書き下ろし17,000字!「明日のナナメの夕暮れ」収録
恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない。ゴルフに興じるおっさんはクソだ!――
世の中を常に”ナナメ”に見てきた著者にも、四十を前にしてついに変化が。体力の衰えを自覚し、
没頭できる趣味や気の合う仲間との出会いを経て、いかにして世界を肯定できるようになったか。
「人見知り芸人」の集大成エッセイ。
<評価>★★★★☆
若林さんは雑誌ダ・ヴィンチにコラムを連載しているのは知っていたけど、結構読み飛ばしていたので、今回真面目に読んでみて驚きました。「私と同じだ!」と。
私も襟ぐりの詰まった服が苦手で、服を買う時の第一条件は「襟ぐりの広さ」だし、ネックレスを付けたまま寝て、起きたら手で引きちぎっていた事もあるし、タートルネックを着て大学に向かう途中でやっぱり気になって走って家に帰って着替えたりしていました。
後、「一人で居てもあまり寂しくないのは自分と話しているからだ」というのも、同じです。私も常に頭の中で自分や架空の人と話しています。それが原因で現実と空想の区別ができにくく、同じ話を人に何回もしてしまったり。又吉さんもエッセイに「頭の中がうるさい」と書いていましたよね。
過呼吸持ちの為、月1でカウンセリングを受けているのですが、空想癖を止めたいと相談したら、「空想でストレスを発散しているとこもあるから、空想を楽しむ時間と、目の前の事に集中する時間を区別する練習をしてみては?」と言われ、ただいま練習中です。
若林さんも又吉さんも多分HSP(繊細さん)の気質を持っていると思います。
一番強く心に響いたのは、「気にするな」という言葉に対して、「気にしすぎなくなる薬がもしあるなら、常用したいぐらいにはもう生まれた時から気にしすぎてしまうのだ」という文章ですね。身長の高い人に「低くしろ」と言うくらい無理な事なんですよね。
でも本書の良い点は、そんな生きづらさを抱えた若林さんが試行錯誤しながら「自分の好きな物を見つけて増やして」いって、「世界を肯定出来る」ようになった過程が描かれているところ。自分の持って生まれた性質を否定するのではなく、まずは認める。そこから始めたとこがとても参考になりました。
「小説を読んでいる時も似たようなことがあって、頭の中で違うことを考えているんだけど文字は目で追っているからページ数がかなり進んでしまっていて、戻ってまた読み直すことがしょっちゅうある」・・・私もしょっちゅうですね(;^_^A。映画を観ていて、草原のシーンがあると、「もしここが近所だったら~」みたいな空想を始めてしまって、話の筋が分からなくなるんですよね。そうゆう時は一旦、別の事をして気分転換するようにしています。
自分の気にしすぎ&空想癖が嫌になる時もあるけど、私も若林さんみたいに好きな事ややりたい事を増やして、行動の幅を広げていきたいです。自分の本当にやりたい事をやった人生にしたいです。