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『平成くん、さようなら』古市憲寿


平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、現代的な生活を送る「平成くん」は合理的でクール、性的な接触を好まない。だがある日突然、平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。なぜ平成くんは死にたいと思ったのか。そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは―。『絶望の国の幸福な若者たち』『保育園義務教育化』などで若者の視点から現代日本について考えてきた著者が、軽やかに、鋭く「平成」を抉る!


<評価>★★★★☆
前にテレビに古市さんが出ていて、空気読まないエピソードが紹介されていて、社会学者ですって言っていて、「また変人が出てきたな 面白いけど」と思っていたら、まさかの芥川賞ノミネートという事ですごいびっくりしました。

読んで思ったのは、綺麗な文章で、とっても今どきで、軽くサラサラっと書いたような感じで、ラストも綺麗に収束していて、素敵だけど、芥川賞をとるには分かりやすすぎるかなーと感じました。

主人公は名前が平成(ひとなり)くん。大学の卒業論文が話題になって、マスメディアで活躍しています。潔癖症で、理路整然としていて、まさに「平成生まれ」って感じの人間です。平成くんが生きている日本は、安楽死が合法な世界で、平成くんは、「平成が終わるのと同時に自分も安楽死する」と宣言します。
平成くんと同棲している愛ちゃんという女性が、平成くんに死んでほしくないから、いろいろ頑張るんですが、彼の決意は固くて・・みたいなお話です。

紡がれる言葉が綺麗で、「締め切りのある人生を生きて下さい」というのが印象的でした。「女は不安な時に不倫をする」も忘れられないかな。

今回は惜しくも芥川賞を逃したけど、次作を書いてくれたら、絶対読みたいと思う作家さんになりました。

『活版印刷三日月堂 星たちの栞』ほしおさなえ


川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂。店主が亡くなり、長らく空き家になっていた三日月堂だが、店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れ、活字と言葉の温かみによって心が解きほぐされていくのだが、弓子もどうやら事情を抱えているようで――。


<評価>★★★★☆
ほしおさなえさん、初読みの作家さんでした。前から名前だけは聞いたことがあって、ぼんやりと優しいお話を書く作家さんなのかな~?と思っていたら、やはりそうでした。心がほっこりする優しいお話でした。

今みたいにパソコンを使って印刷するんじゃなく、一つ一つ活字を拾ってインキで刷っていく活版印刷。一度でいいから目の前でみてみたいです。「活字を拾う」って言葉にロマンを感じます。今現在、この日本で活版印刷のお店ってあるのかな?きっとないでしょうね。昔から蔵書票に憧れがあるんですが、(本の見返しの部分に貼る、私が持ち主ですよーという紙みたいなやつ)その蔵書票を活版印刷で作ってみたいです。

4つのお話が収録されていて、どれも胸が温かくなって涙がじんわり出そうになるんですが、一番よかったのは、「星たちの栞」です。作中に「銀河鉄道の夜」が出てきて、自分自身それが未読なのが残念でした。素敵なお話だろうけど、独特の言葉遣いがされてそうで敷居が高く、いまだに読んだことがありません。今度読まなければ!2人の女子高生の友情のお話なんですが、相手を大切におもっているのに、それを言葉や態度になかなかだせない不器用さに胸をうたれましたし、これが青春だよなって感じました。

次によかったのが、ラストの「ひとつだけの活字」です。司書の仕事に慣れてきた時に、交際している男性の海外赴任が決まり、結婚して海外についていく事になった女性のお話。こうゆう場合、男性は海外でも仕事場っていう居場所があるし、同僚という友達もできるけど、ついていく女性は、仕事を辞め、家族や友達とも離れ離れになり、向こうで友達ができるという確信もないんですよね。けっこう覚悟がいりますよね。。その不安をきちんと包み込んでくれる男性じゃないと勇気が出ないだろうな・・、と感じました。

続編(?)みたいな感じで続いてるみたいなので、また、のんびり追いかけたいと思います。

『Qros(キュロス)の女』誉田哲也


世間を騒がす謎のCM美女「Qrosの女」の素性を暴くべく奮闘する「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太。CMで彼女と共演した人気俳優・藤井涼介の自宅を、先輩記者・栗山と一緒に張り込むとそこに当人が!?藤井との熱愛スクープ・ゲット!それともリーク?錯綜するネット情報と悪意。怒涛のエンタメ誕生!!


<評価>★★★★☆
この前、邦画の福山雅治さん主演の『SCOOP!』を観て、芸能界やスクープをとる記者さんたちのお話が面白かったので、似たような雰囲気の本著を手にとりました。
誉田作品なので、暴力とかグロいシーンとか多いのかな・・と思いながら読んだけど、全然そんな事なかったです。
Qros(キュロス)というファストファッションのCMに出ていた美女は誰だ?と世間が騒ぎ始めます。やっぱりネット社会って
便利だけど怖いな~と感じました。どこどこであの女をみかけたぞ!とか今度あったら触りたいとか、最悪にも痴漢行為
をしてきたりして、それを自慢げにネットにあげる。。匿名だからこそエスカレートしてしまうんですよね。
週刊誌の記者さんたちの生活ぶりも興味津々で面白かったです。ほんとに体をはってますよね。
芸能ネタとなると、下世話なイメージがつきまとうけど、そうゆう記事を読みたがっている一般大衆が存在するというのも事実
なんですよね。よく有名税とか言われてるけど、たまにかわいそうになります。
ラストは綺麗に収束して、さっぱりとした終わり方でした。めでたしめでたしという感じ。

『初恋料理教室』藤野恵美


心の空腹、あたたかく満たします。

京都の路地にたたずむ古びた町屋長屋。
どこか謎めいた小石原愛子先生が営む「男子限定」の料理教室では、
今日もさまざまなドラマが起こる――。
『ハルさん』の著者が贈る、滋味たっぷりのやさしい物語。
巻末には、作中に登場する料理の特製レシピも掲載!


<評価>★★★★☆
なんともほっこりして、じんわりと心に染みてくるお話でした。かなり満足です。この本は確か王様のブランチで紹介されていて、読んでみたいと思い、図書館で借りてきました。

舞台は京都です。京都と和食ってなんだかすごく相性いいような気がします。長屋で料理教室を開いているのは愛子先生。ほんわかとしているのに、どこか芯が通った女性なんです。こんな先生がいたら私も料理を習ってみたいって思いました。そこに通うのは4人の男性。連作短編集になっています。この料理教室はある曜日だけ男子限定なんです。通ってる生徒さんたちにはそれぞれいろんな事情があります。

表題作の「初恋料理教室」も、恋する男性の気持ちがとっても素敵できゅんきゅんしながら読んだんですけど、一番興味深かったのは、三話目の「ふたりの台所」ですね。実の母親から手料理を作ってもらえず、ネグレクトぎみにそだった姉弟のお話。姉はストレスがたまると過食に走るし、弟は女装してて、最初はすごく心配だったんですけど、2人で丁寧に作った料理を食べることで、救われていくんです。やっぱり手料理って最高ですよね。私もついつい手抜きをしがちですが、丁寧にご飯を作ろう!と思いました。


『禁断の魔術』東野圭吾


高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作!


<評価>★★★☆☆
さすが東野さん、さくさくすらすらと読むことができました。面白かったです。文庫の帯に「シリーズ最高のガリレオ」と書いてあったので、期待しすぎちゃったかな~。できればもっと二転三転して欲しかったです。今のところ私の中では「容疑者Xの献心」が一番かな。

自分を大切に育ててくれた姉が亡くなった。ホテルで子宮外妊娠によるショック死・・ホテルにいたという事は相手がいたはずなんですよね、見殺しにされた可能性に気づいた古芝は悔しかっただろうなー。大学もやめて町工場で真面目に働くことになるのですが、そこにはからくりがあって・・どうして工場を選んだかってところが切ないですね。科学って素晴らしいものだけれど、悪用もできちゃうんですもん。それこそ人殺しまで。

読んでる間、なんだかずっと切なかったです。未来ある若者がこうゆう道を選んだということが。ラストの湯川先生の覚悟がかっこよかったです。頭の中では福山さんがチラチラしてました。
わかについて

やま☆わか

Author:やま☆わか
 HN:わか

 活字中毒です。家事の合間では本ばかり読んでいます。気軽にコメント頂けたらうれしいです。
 

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