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『ちょうちんそで』江国香織


取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。いい匂い。あの街の夕方の匂い――人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。


評価 ★★★★☆
可愛らしいタイトルと素敵な装丁がきになって手にとりました。今回も非常に江国さんらしい作品だと思います。架空の妹とずっと会話している50代の雛子。50代なのに、どこか少女みたいな雰囲気をもっています。良い意味で少し狂っているんですよね~。ああ、江国さんだ~って感じます。とりたてておおきなことは何もおこらないんだけど、それでいいんだと思います。ふわふわした雰囲気の中にある狂気、頑固さ、が読んでいて背筋がのびます。子供の心理がよく書けていると思う。紅茶にクッキーをひたして食べるエピソードが大好き。江国さんのお話には紅茶がよく似合うとおもいました。こうゆう作品って江国さんにしかかけないよねって思う。
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『きらきらひかる』江國香織

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私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。


<評価>★★★★★
 
江國さんの描く世界が大好き。うっとりと、ぼんやりと私をふわふわの世界に連れて行ってくれるから。言葉のセンス、ユーモア、生真面目さ、とにかく惚れ惚れとしてしまう。きらきらひかるは再読です。装丁は新潮社から出た真っ白な装丁が好き。

あやうい精神状態を描かせたら江国さんの右にでるものはいないと思う。ゆらゆらゆらゆら・くすくすと・・。よく結婚すればあなたも落ち着くわよ、なんていうフレーズがありますが、笑子もそのひとり。でも夫はホモ。普通に考えたら幸せになれなさそうだけど、笑子にとっては夫がホモでもいいのです。心がただしいのなら。

観葉植物に紅茶をあげたり、お酒が手放せなかったり、、。周りの人たちはあれこれ言ってくるけど、とてもわずらわしいのです。もっともっと続きが読みたくなってしまう作品。何度読んでも飽きないのです。

+既読の江國香織作品+
『赤い長靴』
『抱擁、あるいはライスには塩を』
『ウエハースの椅子』
『ぬるい眠り』(きらきらひかるのその後が収録)

『赤い長靴』江國香織

赤い長靴 (文春文庫)赤い長靴 (文春文庫)
(2008/03/07)
江國 香織

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<評価>★★★★☆
「私と別れても、逍ちゃんはきっと大丈夫ね」そう言って日和子は笑う、くすくすと。笑うことと泣くことは似ているから。結婚して十年、子供はいない。繊細で透明な文体が切り取る夫婦の情景―幸福と呼びたいような静かな日常、ふいによぎる影。何かが起こる予感をはらみつつ、かぎりなく美しく、少し怖い十四の物語が展開する。

14の短編から成り立っていますが、連作というかずっと夫婦2人の物語。

江國さんの感性はすごい。このようなセンスを持った作家を他に知らない。夫婦である事の安心感、それとは裏腹にとてつもない寂しさ・孤独。日和子がくすくす笑う度に、こちらは泣きたくなってしまう。私たちの両親の時代の夫婦に多いんではないかと思いました。奥さんがその日の出来事を話しても、「うん」しか言わない夫。読んでいて、この夫とは絶対に結婚したくないと思った。しかし、この夫、可愛らしい所もあるから複雑。日和子が夜にテニスを習うのだけど、こそっとその姿を見ているのです。きっと心配なんだろうな。その心配の内容がいまいち分かるようで分からない。

あまりにも鈍感な夫と、あまりにも繊細すぎる奥さん。2人の会話のかけあいは、じれったいものの、どこかユーモラス。日和子がいつ壊れるか、ハラハラする読書でした。

+既読の江國香織作品+
『きらきらひかる』
『抱擁、あるいはライスには塩を』
『ウエハースの椅子』
『ぬるい眠り』(きらきらひかるのその後が収録)

『抱擁、あるいはライスには塩を』江國香織

抱擁、あるいはライスには塩を抱擁、あるいはライスには塩を
(2010/11/05)
江國 香織

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<評価>★★★★☆
三世代、百年にわたる「風変りな家族」の秘密

東京・神谷町にある、大正期に建築された洋館に暮らす柳島家。1981年、次女の陸子は貿易商の祖父、ロシア革命の亡命貴族である祖母、変わり者の両親と叔父叔母、姉兄弟(うち2人は父か母が違う)の10人で、世間ばなれしつつも充実した毎日を過ごしていた。柳島家では「子供は大学入学まで自宅学習」という方針だったが、父の愛人(弟の母親)の提案で、陸子は兄、弟と一緒に小学校に入学。学校に馴染めず、三ヶ月もたたずに退学する。陸子は解放されたことに安堵しつつ、小さな敗北感をおぼえる。そもそも独特の価値観と美意識を持つ柳島家の面々は世間に飛び出しては、気高く敗北する歴史を繰り返してきた。母、菊乃には23歳で家出し8年後に帰ってきた過去が、叔母の百合にも嫁ぎ先から実家に連れ戻された過去がある。時代、場所、語り手をかえて重層的に綴られる、一見、「幸福な家族」の物語。しかし、隠れていた過去が、語り手の視点を通して多様な形で垣間見え――。

江國さんの描く世界観が大好き。ちょっと普通の人よりずれていて、でも確固たる信念を持っている人々。なんだか海外小説を読んでいるような感覚でした。

大きな洋館にみんな住んでいるんだけど、この洋館がとっても素敵。図書室があったり、サンルームがあったり、居間やお客様室みたいなのもあって。それに、広い庭があって、そこで探検したり、運動したり。。子供を育てるには、物凄く良い環境だと思いました。図書室があるこの洋館に私も住んでみたい。

柳島家の教育法は変わっていて、学校には行かせず、家で家庭教師をつけて勉強させるんです。これもまた私の憧れです。分からない事はすぐに聞けるし、学年に縛られることなく先に進むこともできるのだから。大人はすぐに協調性を身につけさせる、とか言って学校に行かせるけど、それは親や周りの人が教えても十分に身につくんじゃないかな。その成果か、柳島家の人々はみんなわりと高学歴。

読んでいくと、タイトルの意味がじんわりと分かるようになります。「ライスには塩を」とは、「自由万歳」という意味。洋皿にのったライスには、塩をかけて食べたくなるけど、小さい時には塩分の取りすぎという理由で許されないのですが、大人になったらそんなの自由なので、自由万歳という意味なのです。

それぞれの視点から物語りは語られていきます。桐之輔という、海外を遊学してきた叔父さんが、自由な大人で、厳しいしつけの中で、ちょうど良いバランスを取っているんです。こっそり大人な場所に連れていってくれたり。

母親が違う、父親が違う、という子供もいるんですが、柳島家は、それをすんなりまるで当たり前のように受け入れて平等に育てます。この辺がとても江國さんらしい所だな。子供たちもとても素直に育ちます。

私が大好きだったのが陸子。図書室が大好きで、弟を大切にしていて、いきなり小学校に通わされる時期があるけれど、どんなにつらくても、芯が強いので、必死で頑張ります。綺麗な家でずっと育ってきた陸子からしたら、小学校なんて、不潔のかたまりなのです。汚い言葉を使う男の子とかもいるし。自分というものをちゃんと持っているから、大学には行かない、と決め、文章を書き、作家になるんです。すごく素敵。

辛い出来事もあるのですが、柳島家で育ったみんなは、世間の価値観に惑わされず、幸せなんです。本書を読むと、他人の目を気にせず、私は私らしく生きていこう!と前向きなパワーをもらえます。

+既読の江國香織作品+
『きらきらひかる』
『ぬるい眠り』(きらきらひかるのその後が収録)
『赤い長靴』
『ウエハースの椅子』

『ウエハースの椅子』江國香織

ウエハースの椅子ウエハースの椅子
(2001/01)
江國 香織

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<評価>★★★★☆
「私の恋人は完璧なかたちをしている。そして、彼の体は、私を信じられないほど幸福にすることができる。すべてのあと、私たちの体はくたりと馴染んでくっついてしまう」―三十八歳の私は、画家。恋愛にどっぷり浸かっている。一人暮らしの私を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻と息子と娘がいる)とのら猫、そして記憶と絶望。完璧な恋のゆく果ては…。とても美しく切なく狂おしい恋愛長篇。

江國さんにしか描けない世界。とても息苦しくて、くしゃっと壊れてしまう・・そんな世界。

私には恋人がいて、恋人には妻と子がいる。でも離れられない。 でも、夜になると絶望がやあ、といって忍び寄ってくる。それを私ははらいのけることなんか出来ない。妻子ある人を好きになってしまうと、とても辛い。決して自分を選んでくれる事はないのだから・・・。絶望・不安・孤独・・そうゆうものを描かせると江國さんはすごく上手だと感じます。そうそう、そんな気持ちになるよね、みたいな。

多分、お話の中の私にとって、彼との別れは、イコール死なんでしょうね。ものすごくくたびれているし、物を食べる意味すらなくなってしまう。文章が透き通るように綺麗でうっとりしてしまいます。

+既読の江國香織作品+
『きらきらひかる』
『ぬるい眠り』(きらきらひかるのその後が収録)
『赤い長靴』
『抱擁、あるいはライスには塩を』
わかについて

やま☆わか

Author:やま☆わか
 HN:わか

 活字中毒です。家事の合間では本ばかり読んでいます。気軽にコメント頂けたらうれしいです。
 

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