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『さえずる舌』明野照葉

さえずる舌
<評価>★★★★☆
産業カウンセラーとして、ヒーリングスタジオなども運営する友部真幌。スタッフに新たに加えた島岡芽衣は、知性、美貌すべてにおいて抽んでた存在だった。芽衣の力で売り上げも伸び、順調に見えた職場であったが、次第にスタッフ間に歪みが生まれる。歪みの真相を探る真幌は、予想すらできなかった恐るべき存在を知る!人が持つ「病い」を鋭く抉る、書下ろし傑作。

似たような作風なのだけど、いつも面白く、興味深く読んでいる明野作品。今回も非常に面白かったです。

産業カウンセラーとして、ヒーリングスタジオを運営している真幌。夫の手助けもあって、順風満帆といったところ。少々忙しいというのが悩みといえば悩み。でもそれは喜ばしいこと。ある時、真幌が開催する講座に聴講に来ていた島岡芽衣という女性をスタッフとして仕事仲間になってもらいます。芽衣は、美人で知性もあり、スタジオもお客が増えます。それを嬉しいと感じつつも、少しづつ奇妙な違和感が真幌につきまとうのです。お客さんにプレッシャーというか緊張を与えているみたいなのです。変な服装をしていったら芽衣に眉をひそめられるのではないか、、というような雰囲気を出しているのです。

ヒーリングスタジオの単なるスタッフとして雇っただけなのに、芽衣はどんどん奇妙な行動を起こすのです。真幌の夫の仕事場に勝手に出かけて手伝ったり。。善意といえども、なんだか怖いですよね。いつの間にか主人公が入れ替わってしまうような。他のスタッフにも影響を及ぼし、お店を辞めていく人も出てきます。

芽衣に、いつか真幌がやられてしまいそうで、ハラハラものでした。芽衣にとっては、会社も人間関係も、新しい玩具のようなもの。徹底的に遊ぶだけ遊ぶと、ポイっと放り投げちゃうみたいな。

最後は、そこまで怖くはなかったけれど、居ないようで居そうな芽衣という人間が怖くて、薄ら寒い思いがしました。
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『骨肉』明野照葉

骨肉 (中公文庫)骨肉 (中公文庫)
(2007/09/22)
明野 照葉

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<評価>★★★★☆
ある日、稲本家の三姉妹に父親から「実家に来い」と招集がかかった。すでに大人として、別々の人生を送っている娘たち。困惑しつつも、実家に集合した彼女たちを待っていたのは父と四女だった!突然の隠し子登場に、唖然とする三姉妹だが…。家族関係の異変をユーモラスに描いた傑作。

本書は、いつものホラーな明野さんとは少し違う作品でした。ユーモアも書ける方なんだな、と感心しました。まあ、ユーモアといっても、わりとブラックなんですが。

面白かったのは、稲本家の三姉妹が、それぞれに欠点を持っていて、常にお互いに欠点を攻撃して、ついつい喧嘩になってしまう所。もっと仲良くすればいいのに・・とは思いますが、気が強いとこうなっちゃうんでしょうね。

姉の真子は、子持ちの主婦なんだけれど、思春期の子供たちに邪険にされ、心にウツウツとしたものを抱き、毎晩にようにアルコールを飲んでいる。 次女の聖美は、キャリア・ウーマンだが、仕事にかこつけて、部屋が汚部屋となっている片づけられない女。 三女の美善は、いつも愛に飢えていて、出会い系サイトにはまっている。

ここに、父親の隠し子だという阿子というコギャルでヤンキーちっくな女の子が登場し、三姉妹はびっくりしつつも、阿子のふてぶてしい態度や清潔感の無さを見て、家から出て行って欲しいと願うのですが、ここの父親が、若い時は、女の赤ちゃんや幼児とどう接していいかわからずに、三姉妹をほとんど可愛がらずに生きてきてしまったので、天涯孤独となった阿子を、ものすごく可愛がるんです。三姉妹からしたら「それはないんじゃないの?」となりますが、その気持ちはすごくよく分かりました。父親の阿子に対する溺愛ぶりを見ていたら、そのうち、全財産を阿子に相続させちゃうのでは・・と不安になってゆくのです。

稲本家には、土地や投資などで、億単位の財産があったからなおさら、三姉妹はヒートアップします。でも、この慌てぶりを読んでいて、財産という言葉が心から嫌になりました。まだ父親は生きているのに、三姉妹はお金の事ばかりに東奔西走していて、その半分でも父親を労ってあげれば?と感じました。

財産を計算して、それぞれに5千万くらいの遺産が入るとわかった時の、三姉妹の頑張りは、ちょっと面白かった。長女はお金があれば子供に愛想をつかされないと思い、お酒を飲まなくなるし、次女は部屋を綺麗に片付けちゃうし、三女は英会話を習いだしたりしちゃうんです。たかがお金、されどお金なんですよね。この辺の描写はさすがだな~と感心するくらいに良く書けていたと思います。

遺産争いなんてしたくないけど、もし我が家に阿子ちゃんが来たら・・と思うと、やっぱり私も嫌かもしれない。あっけらかんとした可愛さはあるけれど。

『憑流』明野照葉

憑流(hyoryu) (文春文庫)憑流(hyoryu) (文春文庫)
(2010/02/10)
明野 照葉

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<評価>★★★★☆
旧家・朝比奈家に嫁いだ苑香は才色兼備の完璧な嫁。やがて、彼女がツキをもたらしたかのように、朝比奈家は隆盛を見せるが、夫の妹・真希は、苑香にいいしれぬ違和感を覚える。そして、苑香を嫌悪する者は、なぜか次々と姿を消す。はたして彼女は何者なのか。ホラーと心理サスペンスが融合した傑作長編。

『25時のイヴたち』を読んでから、書店に行っては明野さんの作品を探しています。怖いけど読みたいと思わせてくれる作家さんです。お金持ちで、優しくて素敵な幸宏のお嫁さんになった苑香。苑香は才色兼備だし、奥ゆかしいし、黙々と家事をこなしてくれるとても素敵な若奥様。だけど、夫の祖母・母親・妹の女3人は、いいようのない不快さ、嫌さを感じてしまいます。だけど、欠点のない嫁を反対する訳にもいかず、その思いは心の中にだけ留めておいたのです。反対に、諸手を挙げて苑香を歓迎した夫と夫の父親は、何もかもが良い方向に向かっていくのです。仕事が成功したり、すぐにタクシーがつかまったり、混んでいるレストランでもすぐに席が空いたり・・まさにツイテイルの一言なのです。 苑香を心中では良く思っていなかった祖母と母親は、相次いで亡くなってしまうんです。意地悪く考えれば、苑香が無意識にでも「邪魔だな」と思った人間は必ず不幸になってしまうのです。そう、ツキとは憑き、とも言えるんですよね。しかし夫は、苑香の処女だったのに大胆な夜の営みに心を奪われて異変に気づく事が出来ないんですね。その辺が読んでいてイライラというかハラハラしました。 と言っても、決して苑香が悪い訳ではないと思うんですよね・・・。血筋が憑き物という家系に産まれてしまったというだけなんですが。血筋とは、どうやっても断ち切れないものなんでしょうか。ラストは、背筋がゾワリとしました。

『女神』明野照葉

女神 (光文社文庫)女神 (光文社文庫)
(2006/09/07)
明野 照葉
<評価>★★★★☆

  誰もがため息をつくような美貌。仕事はトップセールスを誇り、恋人はエリート医師…。“営業部の花”と呼ばれる沙和子に憧れる真澄は、彼女を観察するようになる。すると、その秘密主義、完璧主義は、常軌を逸しているように見えた。転職、転居を繰り返す、沙和子の素顔に隠された奇妙な過去とは?完璧を目指す女。その裏側に潜む社会病理を描いた傑作。

 女性なら誰でも一度は夢見るだろう事が、顔も身体も抜群に良くて、しかも仕事も出き、素敵な恋人がいる自分。だけれどそんな女性はまずいないんですよね。でも、顔や身体に関しては、今や美容外科があるので、綺麗には出来ると思う。お金はかかりますが。仕事も、たとえ学歴が無くとも、沙和子のように営業のような実力重視の会社であれば、昇進可能です。 読んでいて、沙和子の美容を維持する努力がすごくて、少し憧れる部分もありましたが、自分に点数をつけたり、分刻みに時間を気にしたり、とっても疲れそう・・という印象。同じ女性として、なんでも完璧の沙和子の日常や心の呟きなど、ドキドキしながら楽しく読めました。読み終わると、自分もほんのちょっと人生という舞台で演技してみて、髪型を変えたりしてみたくなるかも。


『汝の名』 明野照葉

汝の名 (中公文庫)汝の名 (中公文庫)
(2007/06)
明野 照葉

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若き会社社長の麻生陶子は、誰もが憧れる存在。だが、その美貌とは裏腹に、「完璧な人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。
しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が明らかになっていく・・・。

『25時のイヴたち』を読んで、とても気になり始めたのが、明野さん。
本書も、とても面白かったです。太陽のように輝く、女社長の陶子と、陶子に生活をさせて
もらっている地味な久恵。日夜あらゆる努力をして、美貌にお金に地位を手にしている陶子だが、
帰宅すると、一日のストレスを久恵にぶつけて精神的バランスを保っているんです。
全てを手に入れたように見える女性でも、こうゆう醜い部分があるなんて怖い。
本書を読んでいると、つい、「経済力って大事なんだな」なんて感じてしまうのです。
女の友情(歪んではいますが)が駄目になる時って、やはり男性が現れた時なんだな。
久恵に薬を飲まされて、軟禁状態にある陶子が這い上がる場面は、読んでいて
気持ちが良かったです。欲を持つって、怖い事だと思いました。
わかについて

やま☆わか

Author:やま☆わか
 HN:わか

 活字中毒です。家事の合間では本ばかり読んでいます。気軽にコメント頂けたらうれしいです。
 

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