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『希望荘』宮部みゆき


今多コンツェルン会長の娘である妻と離婚した杉村三郎は、愛娘とも別れ、仕事も失い、東京都北区に私立探偵事務所を開設する。ある日、亡き父が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調べてほしいという依頼が舞い込む。依頼人によれば、父親は妻の不倫による離婚後、息子との再会までに30年の空白があったという。はたして本当に人殺しはあったのか――。
表題作の「希望荘」をはじめ計4篇を収録。新たなスタートを切った2011年の3.11前後の杉村三郎を描くシリーズ最新作。
『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に続く人気シリーズ第4弾。


<評価>★★★★☆
宮部さんの杉村三郎シリーズ第4弾です。前3作はがっつり長編を楽しませてもらいましたが、今回は短中編が4話収められています。どれもこれも面白かったというか、興味深かったです。私的には宮部さんはファンタジーものより、こうゆう社会派のお話の時のほうが、安定した面白さがあるかな、と思います。

妻と別れ、職も無くし、愛する娘とも思うように会えない杉村の心情を思うと、暗くなってしまうのですが、杉村自身はそうゆうのを淡々と受け入れてる感じがしました。どのお話もよかったのですが、一番印象に残ったのは、ラストの「二重身(ドッペルゲンガー)」です。普段は考えないようにして心の奥に隠している嫉妬とか悪意とか、そうゆうドロドロとしたものが、ささいな事がきっかけで爆発してしまい、人を殺めてしまう。。自分の心の中にも、絶対あると思うんですよね、普段頑張っているんだから、これくらいの望みは叶ってもいいはずだ・・的な自分勝手な思いが。でもそれが叶わなかった時、悲しむのか、憤るのか、怒るのか、、人それぞれですよね。震災の話しが絡めてあって、胸が苦しくなりました。

宮部さんは、人が普段は隠し持っている悪意をじわりじわりとあぶりだすのが本当に上手ですよね。杉村探偵はまだまだ続きそうなので、次作が楽しみです。今度は長編も読みたいな~。

『魔術はささやく』宮部みゆき


それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた……。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。


<評価>★★★★☆
すっごく面白かったです。分厚くて、読み応えもありました。何年も昔に買ったまま、本棚にいれっぱなしにしていた本でした。今回手にしてみて、ぐいぐい読むことが出来ました。骨太の社会派ミステリーという感じかな。
もう昔の作品なので、題材が少し古い感じはしますが、確かに昔、世間を騒がせていたなーあれ、、と感じました。
女性に縁のない男性に近づいて、デートしてその気があるふりをして、お金を巻き上げる・・デート商法。安い化粧品をあの手この手で高額のローンで買わせる詐欺商法。私自身、こうゆう話が大嫌いです。胸が悪くなります。人のコンプレックスや弱い部分、気にしている部分につけこむやり口が寒気がします。
登場人物たちの会話がとてもいきいきとしていて、さすが宮部節!という感じです。
ラストで主人公の守君が懊悩するくだりは、自分だったら自分だったら・・と何回も考えました。人間の持つ善意と悪意について、とにかく考えさせられる作品でした。
未読の宮部作品はまだ本棚にあるので、少しづつ読み進めていきたいです。

『とり残されて』宮部みゆき



<評価>★★★★☆
勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が…。その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など六篇を収録。巧みな伏線、鮮やかな舞台設定。清新にして熟達の筆致をおたのしみください。


久しぶりに短編集を読みました。宮部さんの初期の頃の短編集なのかな??7つのお話が収録されていました。
いや~、どれもこれも面白かったです。宮部さんはほんとにストーリーテラーですよね。読みやすい!
思わずぞっとしたり、なんだか切なくなったり、苦味がきいていたりして、飽きることがなかったです。
ラストの『たった一人』も、すごく良くて、ネットでも評判がいいのですが、私は、ラストから二番目の『いつも二人で』が
なんだか心にしみました。相手にわがまま言われて振り回されて、ため息ついたりしながらも、いつもいつも二人でいたら、
それが当たり前になって、いざ一人になって自由になってみると、心に残るのは淋しさ、、というお話。
そうゆうもんだろうな~と思いました。

普段は、ついつい大作を求めて長編小説ばっかり読んでしまいがちだけど、たまには短編小説もいいなーと感じました。

『クロスファイア』上下 宮部みゆき


青木淳子は常人にはない力を持って生まれた。念じるだけですべてを燃やす念力放火能力―。ある夜、瀕死の男性を“始末”しようとしている若者四人を目撃した淳子は、瞬時に三人を焼殺する。しかし一人は逃走。淳子は息絶えた男性に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね」正義とは何か!?裁きとは何か!?哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く。


<評価>★★★★★
ネットで仲良しのお友だちからおススメしてもらった本です。画像は文庫版ですが、私はノベルス版で読了しました。

いや~面白かったです!!なんで今まで読んでなかったんだろう?映画になった事とかはぼんやりと知ってはいたのですが。とてもとても悲しい女性のお話でした。主人公・青木淳子は念力放火能力を生まれつき持っています。この能力は、力が体にたまると苦しいので、時々廃工場とかにいって放出させる必要があります。その時に人殺しの少年たちと遭遇し、淳子は自分の力で復讐しようとします。危ないシーンが沢山あって、はらはらどきどきしました。そして時々淳子は暴走気味になるので心配でした。能力持ちゆえに、すすんで日陰を歩いているように淳子が見えて、「幸せになって~」っと思いながら読みました。下巻で、淳子に恋人ができ、淳子がとっても幸せそうだった分、ラストが悲しすぎて涙が出ちゃいました。こんな終わり方って。。。

やはり宮部さんは抜群のストーリーテラーですね。最高です。

幼い能力者のかおりちゃんがどんな風に育っていくのか、気になります。幸せになって欲しいです。

『ICOー霧の城ー』宮部みゆき


邪悪な力を持つ霧の城は角の生えた子を生贄として求めていた。イコはしきたりに従い、霧の城へ。そこで檻に囚われた少女を発見したイコは、彼女を助け出すがその手を握ると何故か彼の頭の中に様々な幻像が…。不思議な力を持つ少女・ヨルダは何者なのか?そして囚われた理由とは?運命に抗い、謎が渦巻く城からヨルダとともに脱出するため、イコは城主と対決する。


<評価>★★★☆☆
画像はノベルス版ですが、実際は文庫で読みました。アマゾンに画像がなかった・・。宮部みゆきさんが「ICO」という本を書いてらして、そしてプレイステーション2のゲームでも同タイトルがあるのは前から知ってました。あとがきを読むとどうやらゲームが先に存在して、それに触発された宮部さんがノベライズを書いたみたいです。普段ほとんどファンタジーを読まない私。読み始めた時はどうしても想像できない場面が出てきて、読了できるかな?と不安でしたが、下巻からはあっという間でした。童話というかおとぎばなしみたいなファンタジーだなと思いました。

頭に角をもって生まれた少年イコ。村では角をもった人間は霧の城へ生贄にするというしきたりがありました。まだ幼いイコの過酷な運命に胸が痛くなりました。だって周りの大人はみんなしょうがない事、それが運命、みたいな感じで誰もイコを救おうとしないんだもの。友人のトトがよかったな~。ちょっと無鉄砲なんだけど、すごく友だち思いでイコの為に冒険します。

霧の城に向かったイコですが、そこで鳥の籠に閉じ込められた少女ヨルダと出会います。ヨルダをなんとしてでも救おうとするイコの姿に勇気をもらいました。途中からヨルダとオズマ(戦士)の話しになります。オズマの協力を得て、女王(母親)を葬り去ったと思ってたのですが、実はそれは失敗していて・・となり、再びイコとヨルダの話に戻ります。なぜ女王をやっつける事ができなかったのか?そこにはヨルダの母親を慕う気持ちがあって、読んでて胸が苦しくなりました。やはり母親には愛して欲しいし、どこかで信じちゃう気持ちってわかるなー。ヨルダもイコも満身創痍。女王との戦いでボロボロになります。

これはヨルダというお姫様を助ける物語でもあり、イコという少年の成長物語ともいえると思いました。久々にファンタジーにどっぷりはまって幸せな読書時間でした。ラストもすごくよかった!
わかについて

やま☆わか

Author:やま☆わか
 HN:わか

 活字中毒です。家事の合間では本ばかり読んでいます。気軽にコメント頂けたらうれしいです。
 

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